1. まず落ち着く
転倒した瞬間はパニックになりがちですが、まずは深呼吸して落ち着きましょう。怪我がないかを確認することが最優先です。
周囲の安全も確認し、後続車両がある場合は注意を促す必要があるかもしれません。路肩や安全な場所であれば、少し時間をおいて気持ちを落ち着かせてから行動しましょう。
まずは深呼吸。焦りは禁物です
💡 ポイント
転倒直後は アドレナリンで痛みを感じにくいことがあります。しばらく経ってから痛みが出ることも。少しでも違和感があれば、無理せず救急に連絡を。
2. 起こす前の準備
バイクを起こす前に、いくつかの確認と準備が必要です。この手順を飛ばすと、二次的なトラブルにつながることがあります。
エンジンを切る
キルスイッチまたはキーでエンジンをOFFに。
ハンドルを切る
倒れた側にハンドルを切る=前輪の接地。
確認
滑らないよう、足元の砂利などを除去。
・右に倒れた時(後輪をロック):ギアをニュートラル以外にする。サイドスタンドを出しておく。
・左に倒れた時(前輪をロック):ブレーキをかける。(グローブを被せるだけでも固定出来る)
※左右両方の処置をした方が良いが、下側を操作できない場合はどちらか出来ていれば良い。
明らかに液体が漏れている時
燃料コックがある車種はOFFに。火気注意。
3. 起こし方の手順
腕力だけで起こそうとすると腰を痛めたり、途中で力尽きてしまうことがあります。脚の力を使うのがポイントです。
教習所で習う正面から起こす方法(フロントリフト)をまず解説します。
基本の起こし方(フロントリフト)
教習所で教わる、バイクに向かいあった状態で起こす方法です。
1.グリップポイントを確保
片膝を立てて腰を落とす。
下側のハンドルグリップを片手で持ち、もう片方の手でシート下のフレームまたはグラブバーなどをしっかり握る。
クラッチに触らない。プラスチック部分は割れやすいので握らない。
2.前後輪タイヤを接地させる
車体が完全に寝てしまい後輪が浮いている場合は、まずタイヤを接地させる。
隙間に腕を入れて引き起こしつつ両輪を接地させ、出来たスペースに片膝を立てて脚を入れる。
続けて3の引き起こしに入る。
3.胸をシートに当て脚力で押し上げる
バイクに体を密着させ脚力でバイクを押し上げる。力の向きは斜め上、シートの向こう側辺りをめがけて押す。
車体が起き上がるのと同時に自分は少しずつ前進し最大限力が入る状態を維持しながら、起こし切る。
※左に倒れていた場合はサイドスタンドを出していないので、勢い余って逆側に倒さないよう気をつける。
バイクに向かって密着し、脚の力で起こす
💡 ポイント
腕で「持ち上げる」のではなく、脚で「押し上げる」感覚が大切。腕は支えるだけで、主役は脚の力です。腰を痛めないよう、背中はまっすぐに保ちましょう。
その他の引き起こし方法
ハンドルだけで起こす
ハンドルを持って起こす方法です。
1.両方のハンドルを持つ
前述の事前準備を行ったあと前方を向き、運転時と同じように左右のハンドルを持つ。
ブレーキをかける。クラッチは触らない。
2.タンク辺りに体の側面を密着させ足腰で押し上げる
バイクと反対側の膝を立てる。脚力を使うのはフロントリフトと同じ。
腰付近をタンクに密着させ前輪の接地点へ向けて、斜め上に立ち上がる感じで力を入れる。
⚠️ ハンドルでの引き起こし注意点
フルカウル車など、フロントリフトで持つ場所に困る車種はこちらがいいかもしれません。
こちらの方が簡単だと紹介している動画もあります。
バックリフト
車体に背中を向けて起こす方法(バックリフト)もあります。
体格や状況によってはこちらが起こしやすい場合もあるそうです。
1.ハンドルとフレームを持つ
バイクに背を向け、背中をシートに密着させるようにしゃがむ。
後ろ手でハンドル(下側)とシートレールまたはグラブバーを持つ。
2.脚の力で後方に押し上げる
車体に背中を密着させ地面を蹴るように脚に力を入れ、斜め上後方に向かって車体を押し上げる。
⚠️ バックリフトの注意点
バックリフトはより重い車体を起こすのに向いている方法ですが、起こした後、反対側に倒してしまうリスクがあります。基本的には(特に左に倒した時は)フロントリフトやハンドル引き起こしをおすすめします。
4. ひとりで無理な場合
無理は禁物です。何度かやって起こせない場合、すぐ助けを求めましょう。
自力に固執せず、他の選択肢を知っておき、優先度を考えましょう。
「起こせないなら乗るな」について。
匿名質問板でよく見ますが、この手の回答をする人の頭の中の設定は「アスファルト上、広い場所で他の通行車両も障害物もなく、いくらでも試行錯誤できる安全な場所で勝手に転倒した」です。
これなら誰でも起こせますって…いやそもそもこんなところでは転倒しないですし。
もしくはただマウントしたいだけの人の可能性もありです(そもそもバイク乗りなのかも不明)。
ということで、あれは気にしなくてよいです。
もちろん、最初から、困ったら誰かに助けてもらえばいいと、絶対に起こせないと「本人も」思っているバイクに乗るのは傲慢ですが、ほとんどいないでしょう。
どんな状況でも一瞬で引き起こして走り去るのはカッコイイですが、なかなかそうは行きません。
実際問題「安全な場所」かつ「自分のせい」で転倒することは少ないからです。
信号無視の車を避けるための転倒。怪我をした。傾斜地。砂利の上。交差点内。など。
状況次第では自力でトライするより、すぐ助けを求めたほうが全体として安全で合理的で理性的な場合も多いです。
現実で本当に大事なのは、起こせるかどうかではなく、その場をどれだけ早くリカバリーできるか。だと思いますよ。
助けを求める方法
- 通りがかりの人に声をかける
- 近くの店舗やガソリンスタンドに助けを求める
- JAF(#8139)に連絡する
- バイク保険のロードサービスを利用する
📞 緊急連絡先
JAF:#8139(短縮ダイヤル)/ 0570-00-8139
※保険会社のロードサービスは契約内容を事前に確認しておきましょう
5. まとめ
転倒は誰にでも起こりうるトラブルです。大切なのは、慌てずに正しい手順で対処すること。そして、無理だと思ったら迷わず助けを求めること。
この記事の内容を頭の片隅に入れておいて、いざというときに思い出してもらえれば幸いです。安全で楽しいバイクライフを!
現実の社会(経験談)
ありがたいことに、転倒した瞬間、ライダーではないと思われる方も含め周囲の方たちが駆け寄ってきてくれて、安否確認をしたりバイクを起こしてくれたりします。運営者はこれまで全てすぐに周囲の方に助けられています。
みなさん善意の塊です。この申し出を、甘えちゃだめだからと蹴る人はいないでしょう。
最初から助けてもらおうと思っているわけでは有りませんが、人通りがそれなりにある場所なら、実際には声を上げなくてもすぐ助けてもらえます。
自分も転倒などを見たらすぐ手伝います。